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Stable Diffusionで「生成に時間がかかる」「高解像度やControlNetが重い」と悩んだことはありませんか?
私もRTX 4070Tiを使っていて、モデル学習やバッチ生成時に処理が重すぎて、思わずグラボを2枚に増設しました。
ただし、結論から言うと、「ただ2枚挿すだけ」では意味がありません。
Stable Diffusionのmulti GPU設定には、明確なメリットと、ちょっとした“落とし穴”があるんです。
この記事では、以下を徹底的に解説します。
- グラボ2枚構成の本当の効果と意味がある場面
- 初心者向けの設定方法(WebUI/DDP)
- VRAMの誤解・SLIとの違いなどFAQ
- 導入に向いてる人・向いてない人
目次
- 1 1. Stable Diffusionにグラボ2枚は意味ある?【結論】
- 2 2. 【用途別】グラボ2枚が“意味ある”ケース・意味ないケース
- 3 3. Stable DiffusionマルチGPUの設定方法3選【初心者〜中級者向け】
- 4 4. グラボ2枚構成の注意点【失敗しないための必読ポイント】
- 5 5. グラボ2枚構成が向いている人・向いていない人【Stable Diffusion用途別】
- 6 6. よくある誤解とQ&A【Stable Diffusion マルチGPU初心者向け】
- 7 7. 実運用して気づいた「現実的な限界」
- 8 8. まとめ|Stable Diffusionでグラボ複数枚は“使いこなしが命”
1. Stable Diffusionにグラボ2枚は意味ある?【結論】
結論から言えば、Stable Diffusionでグラボ2枚構成が意味を持つかどうかは、「目的」と「設定」によって大きく変わります。
単純な画像生成だけなら、正直1枚のGPUで十分。
ですが、以下のような“高度な用途”においては、明確なメリットがあります。
LoRAやDreamBoothなどモデル学習(DDP対応)
モデル学習は膨大なステップ数とメモリ消費がかかります。PyTorchのDistributed Data Parallel(DDP)を使えば、処理を2枚のGPUに分散可能。結果として、学習時間を40〜60%短縮できることもあります。
複数画像を同時生成する“バッチ処理”
例えばプロンプトAとプロンプトBをそれぞれ別のGPUで処理すれば、時間あたりの画像生成枚数が倍近くに増加。「仕事で大量生成したい」人にとっては大きな時短になります。
生成とアップスケーラ処理(ESRGAN等)を別GPUで担当
画像生成とControlNet処理や高解像度化(アップスケーリング)は、それぞれ計算負荷が異なります。役割を2枚のGPUで“分担”することで、待ち時間を圧縮できます。
つまり、「単に速くなる」というよりは、タスクごとの最適化が可能になる。
これがStable Diffusionにおけるグラボ2枚構成の本当の強みなのです。
2. 【用途別】グラボ2枚が“意味ある”ケース・意味ないケース
Stable Diffusionでグラフィックボードを複数枚使う価値があるかどうかは、「何をしたいか」で大きく分かれます。
ここでは代表的な“意味ある/ない”パターンを紹介します。
意味がある場面
モデル学習(LoRA/DreamBooth)
LoRAやDreamBoothは、特定のスタイルや人物を学習させる処理で、数万ステップの学習と高いVRAM要求があります。
ここでPyTorchのDDP(Distributed Data Parallel)を使えば、2枚のGPUにタスクを分散でき、処理速度が飛躍的に向上します。
例:RTX 4070Ti×2でLoRA学習を実行 → 単体よりも40〜60%高速化
バッチ生成・並列処理
1プロンプトずつ待っていた処理を、同時に複数のプロンプトで実行できるのがグラボ2枚構成のメリット。
WebUI(AUTOMATIC1111)を複数起動し、それぞれ異なるGPUに割り当てれば、1枚目でプロンプトAを生成しつつ、2枚目でプロンプトBを生成という“人力パラレル”が可能になります。
役割分担(生成/ControlNet/高解像度化)
たとえば以下のように、各工程を別のGPUに割り振ることで、処理の効率化ができます。
- GPU 0 → ControlNet・ポーズ制御
- GPU 1 → 超解像(ESRGAN、R-ESRGAN)
こうしたタスク分散により、Stable Diffusion全体のレスポンスが向上します。
意味がない場面
通常の画像生成1枚のみ
Stable Diffusionは本来シングルGPU用に設計されており、特別な設定なしでは片方のGPUしか使いません。
画像1枚を生成するだけなら、どんなに高性能な2枚構成でも片方は遊んでしまうのが実情です。
VRAMを“合算”したいだけの人
「RTX 4070Ti(12GB)を2枚挿せば24GB VRAMになる!」と思っているなら要注意。
stable DiffusionではGPUごとにVRAMは完全に独立して扱われ、合算されることはありません。
同一タスクでVRAMを跨いで使いたいなら、NVIDIA Aシリーズ+NVLinkレベルの構成が必要ですが、それもStable Diffusionでは非対応です。
設定をしない or SLIで使いたい人
「SLIブリッジつなげば連携できるのでは?」という誤解もよくありますが、Stable DiffusionはSLI非対応です。
複数GPUを有効に活用するには、PyTorchベースの分散処理設定や、WebUIレベルの手動指定が前提になります。
3. Stable DiffusionマルチGPUの設定方法3選【初心者〜中級者向け】
マルチGPU構成は、ただ挿すだけでは効果を発揮しません。
使いこなすには“適切な設定”が必要です。
ここでは、Stable Diffusion環境でGPUを2枚しっかり活用する方法を3つ紹介します。
方法① WebUI起動時にGPUを個別指定
最も手軽な方法がこれ。AUTOMATIC1111の起動コマンドに --device-id
を追加するだけで、使用するGPUを選べます。
# GPU0で起動
python launch.py --device-id 0
# GPU1で起動
python launch.py --device-id 1
これにより、異なるGPUでUIを複数起動→並列処理が可能になります。
- UIを複数ポートで起動すれば、片方でプロンプトA、もう片方でプロンプトBの画像生成などが実現可能
- 生成とControlNet、高解像度化などの処理を役割分担する運用もおすすめ
方法② accelerate でDDP学習(LoRA/DreamBooth)
モデル学習で本気を出したい人向け。
accelerate
を使えば、PyTorchベースのDDP(Distributed Data Parallel)機能で複数GPUを同時に使って学習できます。
# 初回のみ環境設定
accelerate config
# 2枚のGPUで学習開始
accelerate launch --multi_gpu --num_processes=2 train.py
- 特にLoRAやDreamBoothのようにステップ数が多く、VRAMも消費する学習で真価を発揮
- GPUごとに異なるデータを割り当てることで、VRAM負荷も分散され、熱と消費電力の効率も改善
DDPの使い方は
Hugging Face Accelerate
の公式ドキュメントも参考に!
方法③ タスクごとにGPUを“役割分担”
最も柔軟性のある使い方がこのスタイル。
画像生成・ControlNet・アップスケーラ処理を別々のGPUに振り分けることで、並列処理のように動作させられます。
例
- GPU0 → 画像生成 + ControlNet
- GPU1 → 超解像(ESRGANやLatent Upscalerなど)
複数UIを起動する or 拡張機能(ControlNet・アップスケーラ)で明示的に処理ごとにGPUを指定すればOKです。
・ 実務でも多い「生成→高解像化→保存」のワークフローにぴったり
・ GPUが遊ばずフル稼働し、全体の処理待ち時間が短縮
4. グラボ2枚構成の注意点【失敗しないための必読ポイント】
Stable DiffusionをマルチGPUで快適に使うには、“ハード面”の準備も超重要です。
項目 | 注意点 |
---|---|
電源 | RTX4000番台×2の場合、1000W〜1200Wの電源ユニットが必須級。80Plus GOLD以上推奨。安物は絶対NG。 |
冷却 | 空冷ファン2枚は熱だれ&高温でパフォーマンス低下のリスク。簡易水冷 or 高通気ケース推奨。 |
ケース | 2スロット占有×2で大型ケースがほぼ必須。ミドルタワー以上が望ましい。マザーボードもx16スロットが2つ必要。 |
接続 | PCIe x16スロットが2本必要+スペースが干渉しない設計であること。mini-ITXは基本不可。 |
補足:使用していない側のGPUも熱と電力を消費します
→「使わないときは自動でスリープする」とは限らないので、用途ごとに起動・停止をコントロールしましょう。
次の章では、「どんな人が2枚構成に向いているか/向いていないか」を実体験ベースでお伝えします。
5. グラボ2枚構成が向いている人・向いていない人【Stable Diffusion用途別】
Stable Diffusionで「グラボ2枚が向いている人」
タイプ | 理由とおすすめ構成 |
---|---|
モデル学習(LoRA/DreamBooth)を本格的にやる人 | accelerate でマルチGPU学習。学習時間を約50%カット可能。 |
高解像度+ControlNetを多用する人 | 各処理を別GPUに割り当てて待ち時間を大幅短縮。 |
商用・大量生成を行うユーザー | 複数UI起動でバッチ生成処理が圧倒的に効率的に。 |
向いていない人・注意が必要な人
タイプ | 注意点・理由 |
---|---|
VRAM不足を解消したいだけの人 | VRAMは合算不可。VRAM目的なら上位GPU1枚の方が効果的。 |
設定が苦手・CLIが怖い人 | 複雑な設定が必要。「挿すだけで速くなる」は幻想です。 |
電源や冷却に投資できない人 | RTX4000番台×2は電源1000W以上+水冷クラスが前提。 |
「2枚にしたのに片方全然使ってない…」という声は、設定不足 or 目的ミスマッチが原因のことが多いです!
6. よくある誤解とQ&A【Stable Diffusion マルチGPU初心者向け】
Q1. SLIやNVLinkを使えばVRAMやGPUは連携する?
A:Stable DiffusionはSLI非対応です。
- SLIやNVLinkは、ゲームや一部のCUDAアプリ用の仕組み。
- Stable DiffusionやPyTorchベースの処理は「DDP(分散学習)」「device指定」など別アプローチが必要。
Q2. RTX 4070Ti ×2構成はアリ?
A:構成としてはアリですが、使い方によります。
- VRAM合算不可なので、1プロセスあたり12GB制限のまま。
- DDPや並列UI起動の設定ができるなら爆速になります!
- 注意:電源は1000W必須クラス。電力制限して運用している人も。
Q3. 2枚のグラボってめっちゃ熱くなる?騒音も?
A:YES。冷却設計が不十分だとかなり厳しいです。
- 空冷2スロット式×2枚は、夏場はサウナ状態に…。
- 騒音も2倍、電力も2倍、熱も2倍と考えるのがリアル。
- 対策:
- 大型エアフローケース
- 簡易水冷 or 高性能空冷(Noctuaなど)
- ファン制御ソフトで静音チューニング
7. 実運用して気づいた「現実的な限界」
筆者自身、RTX 3080+RTX 4070Tiという2枚構成で実際にStable Diffusionを使ってきた経験から、以下のような「理想と現実のギャップ」がありました。
2倍速にはならない
- DDP学習でもせいぜい40~60%短縮が現実ライン
- 通常生成では1枚のGPUしか使われないケースが多い
- 「倍速で画像生成できる!」は誤解です
電源・熱・消費電力がえげつない
- RTX4070Ti ×2:ピーク時で750W〜850W消費
- 1000W電源+高効率変換(80Plus Gold以上)推奨
- 夏場は室温5℃上昇・PC落ちた…という声もよく聞きます
設定の難易度が高い
--device-id
やaccelerate
設定が必要- PyTorch知識がないと学習のDDPは苦戦する可能性大
- 使いこなすにはある程度のLinux・Pythonスキルが欲しい
8. まとめ|Stable Diffusionでグラボ複数枚は“使いこなしが命”
用途・目的 | グラボ2枚構成の評価 |
---|---|
画像生成だけ | 無意味に近い(1枚でOK) |
LoRA/DreamBooth学習 | 効果大(学習短縮&VRAM分散) |
バッチ生成(UI同時起動) | 効率UP・商用ワークフロー向け |
VRAM目的 | VRAMは合算不可。1枚の高VRAMモデルが正解 |
手間なく高速化したい人 | 設定ハードルあり。知識&準備が不可欠 |
結論|Stable Diffusionにおける「グラボ2枚構成」の真価とは?
- 効果があるのは設定&使い方を極めた人だけ
- 「なんとなく挿した」では性能も電気代も無駄に
- 画像生成AIで複数GPUを活かすには、“分散処理”と“明確な目的”が必要